「生きてる経済解読」

レッドカードよりイエローカードを選んだ 東芝決算「監査法人『結論不表明』」の異常

月刊エルネオス5月号(5月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/前代未聞の「意見」 東芝が四月十一日に行った二〇一七年三月期第3四半期(十〜十二月)決算は、決算内容をチェックする監査法人が「結論不表明」とする異例の事態となっ…

禁煙をめぐり自民党vs.厚労省が激突 「吸わない」8割の国民の声は届かない?

月刊エルネオス4月号(4月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/受動喫煙防止をめぐる対立 原則として飲食店内での喫煙を全面的に禁止する法案をめぐって、厚生労働省と自民党が激突している。 厚労省がまとめた「健康増進法改正案」の原…

トランプ大統領の口先介入に振り回される 為替相場の影響を受けやすい日本経済

月刊エルネオス3月号(3月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/政府による為替介入の効果 米国でトランプ大統領が誕生したことで、世界の為替相場が不安定になっている。というのも、トランプ氏の発言で為替相場が大きく乱高下するケー…

「働き方」を真っ先に変えた企業が「勝つ」 超人手不足時代に問われる経営

月刊エルネオス2月号(2月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/ 三が日休業検討の三越伊勢丹「三越伊勢丹、三が日休業検討 二〇一八年から、従業員に配慮」──。一七年は年初からそんなニュースが駆けめぐった。三越伊勢丹ホールディング…

カジノ解禁を日本経済にプラスとするには 資金洗浄対策などの新ノウハウが必要

月刊エルネオス1月号(1月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/ 十年以上にわたる論議に決着 カジノの解禁に向けた統合型リゾート(IR)推進法案が十二月十五日、衆院本会議で可決され、成立した。カジノの解禁は外国人観光客誘致の起…

制度は維持できても生活できない―― 抜本改革なしの年金制度の行方

月刊エルネオス12月号(12月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/上がり続ける保険料率 秋の臨時国会では年金にまつわる重要法案が審議された。一つは年金の受給資格が得られる保険料の納付期間を二十五年から十年に短縮する「年金機能…

「原子力発電」は本当に不要なのか? 国民議論なしに進む「脱原発」

月刊エルネオス11月号(11月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/新潟知事選で消える再稼働 十月十六日に行われた新潟県知事選挙で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重姿勢を示す無所属の米山隆一氏が当選した。民進党が自主…

年金運用でまたも5兆円赤字のGPIF 株式へのシフトは誤りだったのか株式シフトへの批判

月刊エルネオス10月号(10月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/ 国民の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が巨額の運用損を出している。今年四〜六月期の決算では五兆二千三百四十二億円もの大幅な赤字を…

政権の“意思”と人手不足を追い風に 目前に迫る「最低賃金1000円時代

月刊エルネオス9月号(9月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/東京では最低時給九百三十二円 最低賃金の大幅な引き上げが続いている。厚生労働省の中央最低賃金審議会が七月二十八日に最低賃金改定の「目安」を塩崎恭久・厚労相に答申…

長らく低迷していた消費に底入れの兆し? 景況感を示す「住宅着工戸数」の増加続く

月刊エルネオス8月号(8月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/number1508.html景気を読むための「指数」 日本の景気は減速が続くのか、あるいは明るさが見えてくるのか。参議院選挙で安倍晋三首相がアベノミクスの成果を訴える一方で、…

人手不足の深刻化が進み賃金上昇の兆し アベノミクスでいよいよ経済好循環か?

月刊エルネオス7月号(7月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/number1507.html雇用者数は四十カ月連続プラス 人手不足が鮮明になってきた。求職者一人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」が上昇を続けている。厚生労働省…

「国の借金」7年ぶり減少の現実を見極め 効果ある財政政策を根本から見直す時

月刊エルネオス6月号(6月1日発売)に掲載された原稿です。http://www.elneos.co.jp/財政政策論争に決着「国の借金」が七年ぶりに減少した。財務省が発表した、今年三月末の国債と借入金、政府短期証券の残高合計は一千四十九兆三千六百六十一億円と一年前に…

国内消費を底上げする「地価上昇」には 外国人による国内不動産取得の促進が鍵

月刊エルネオス5月号(5月1日発売)に掲載された原稿です。 http://www.elneos.co.jp/銀座で公示価格の最高額更新 国土交通省が三月下旬に発表した公示地価(一月一日時点)によると、東京・銀座四丁目の山野楽器銀座本店が一平方㍍当たり四千十万円と前年に…

電力業界の地図を塗り替える 電力小売り自由化がいよいよスタート

月刊エルネオス4月号(4月1日発売)に掲載された原稿です。 http://www.elneos.co.jp/自由化で拡大するマーケット 四月一日から電力小売りの自由化が始まる。東京電力や関西電力といった地域の大手電力会社と契約するのが当たり前だった一般家庭の電気も、自…

ジワジワ効いてくる「マイナス金利」の効果 貸し出し拡大へ、問われる銀行の「本気度」

月刊エルネオス3月号(3月1日発売)に掲載された原稿です。 http://www.elneos.co.jp/もう日銀におカネを戻すな おカネを借りると利息がもらえる──そんな不思議な世界がやってきた。日本銀行が一月二十九日の政策決定会合で、マイナス金利政策を導入したので…

会計監査で不正が見つけられない構図 「会社のため」が会社を滅ぼす粉飾決算

エルネオスの2月号(2月1日発売)の原稿です。 「エルネオス」2月号連載─(58)硬派経済ジャーナリスト 磯山友幸の《生きてる経済解読》経営者と担当会計士の関係 東芝が過去六年にわたって二千億円を超える巨額の「粉飾決算」を行っていたことが明らかにな…

不正会計の東芝経営陣の高額報酬が典型 経営者の報酬には厳格なルール作りが必要

月刊エルネオス1月号(1月1日発売)に掲載された原稿です。 http://www.elneos.co.jp/「エルネオス」連載───(57)硬派経済ジャーナリスト 磯山友幸の《生きてる経済解読》日本でも進む役員報酬高額化 日本の経営者の報酬は欧米に比べて格段に安い──。世の中で…

日本郵政グループ3社の「上場」は誰のため? 借金返さず大盤振る舞いの霞が関は大笑い

月刊エルネオス12月号(12月1日発売)に掲載された原稿です。「エルネオス」連載───(56)硬派経済ジャーナリスト 磯山友幸の《生きてる経済解読》日本郵政に上場メリットなし 日本郵政グループ三社の株式が十一月四日、東京証券取引所に上場された。いずれも…

7年連続過去最高で遂に40兆円突破 国民医療費が減らない原因と危機的状況

少し古くなりましたが、「エルネオス」2015年11月号(11月1日発売)の連載コラムに書いた原稿です。エルネオス→ http://www.elneos.co.jp/高齢者医療費の増加 日本の医療費の増加が止まらない。厚生労働省が十月七日に発表した二〇一三年度の国民医療費は四十…

世界中が懸念を強める中国経済の先行き 中国の景気はどこまで悪化しているのか?

月刊エルネオスの解説コラム。10月号(10月1日発売)では中国経済を取り上げました。「エルネオス」連載───54(2015年10月号) 硬派経済ジャーナリスト磯山友幸の《生きてる経済解読》 中国の株価下落が世界を大きく揺さぶっている。上海総合指数が六月十二…

日本の資本市場全体の信頼性をも左右する 東芝不正会計問題への対応策

会食した日本語の堪能な外国人エコノミストが、これじゃ「ノートーシバ」だよ、と冗談を飛ばしていました。「東芝」と「投資場」をかけて、巨額の不正決算がまかり通る日本市場で株は買えないと言っているのです。まだ、当局の処分や事件化はこれからですが…

与野党が激突した「労働者派遣法改正」問題は 働く人にとってプラスかマイナスか

月刊エルネオスの7月号(7月1日発売)に掲載された原稿です。 労働者派遣法の改正をめぐって国会が激しく紛糾した。六月十二日の衆議院厚生労働委員会には安倍晋三首相も出席して審議に臨んだが、強行採決を懸念した民主党など野党側が渡辺博道・委員長の入…

円安効果の正負を見極め儲かる観光業へ

月刊エルネオス6月号(6月1日発売)のコラムに書いた原稿です。エルネオス→http://www.elneos.co.jp/ 「爆買い」で旅行収支が過去最高 日本を訪れた外国人が日本国内で使ったおカネから、日本人が海外に旅行して海外で使ったおカネを差し引いた「旅行収支…

「日本の今」を象徴する大塚家具問題 どちらが勝っても、ガバナンス強化が課題に

ちょっと古くなりましたが、エルネオス4月号(4月1日発売)に掲載された記事です。編集部のご厚意で以下に再掲します。 大塚家具騒動の本質 父娘で経営権を奪い合う前代未聞の騒動に発展した大塚家具。三月二十七日の株主総会に向けて双方が委任状争奪戦(…

訪日外国人1300万人は“通過点” 外国人消費の取り込みが景気回復の鍵

昨年の訪日外国人は1341万人と過去最高を記録しました。前年に比べて29%の増加です。この勢いは当分続くことになりそうです。この訪日外客が日本国内で落とすおカネは2兆円を超えたとみられ、景気を支える大きな要素になってきました。月間エルネオス2月号…

財政再建に向け「増税派vs経済成長派」が火花 論争の大前提は、何よりもまず歳出削減

月刊エルネオスの1月号で、定期コラムに書いた原稿です。編集部のご厚意で再掲します。是非ご一読ください。 再増税先送りの真意 二〇一五年十月に予定されていた消費税の再増税を先送りする方針を示して解散総選挙に打って出た安倍晋三首相が勝利を収めた…

運用資産の見直しを断行したGPIFには 国民の年金財産を守る組織改革こそ重要

エルネオス12月号(12月1日発売)に掲載された連載原稿です。編集部のご厚意で再掲します。 インフレ時には債券は高リスク 厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、運用方法を大幅に見直すと発表した…

円安がプラスだという思い込みは危険 日本の産業構造はすでに大きく変わっている

日銀の追加緩和を引き金に円相場は一気に1ドル=114円台を付けました。七年ぶりの円安水準です。円安によって輸出企業の採算は大きく改善していますが、日本からの輸出数量は増えていません。やはり日本の産業構造は大きく変わっていたのです。月刊エルネ…

カジノは観光立国の切り札になるか 「統合型リゾート法」に企業が熱視線

月刊エルネオス10月号(10月1日発売)に掲載された連載コラムの原稿です。エルネオス→http://www.elneos.co.jp/ カジノで成功したシンガポール カジノ解禁をめぐる議論が佳境を迎える。六月に閉幕した通常国会で審議入りし継続審議となった「統合型リゾート…

アベノミクス指数ともいえる「JPX400指数」 初の銘柄入れ替えで、業績悪化のソニーなどを除外

月刊誌エルネオス9月号(9月1日発売)の経済解読コラムにJPX400について書きました。エルネオス→http://www.elneos.co.jp/グローバルな投資基準 株式市場の値動きを示す「株価指数」では、日経平均株価が最も有名だが、ここへきて「JPX日経イン…