「日本買い」の条件を整備せよ――アベノミクスの正念場

政府が4月21日に1つの報告書をまとめました。なぜ日本への投資が増えないのか、その「対内直接投資」が増えない理由を探るよう、安倍首相が指示していたもので、「対日直接投資に関する有識者懇談会」(座長、浦田秀次郎・早稲田大学大学院教授) がまとめました。外国企業のトップや外資系企業の日本法人トップなどの意見をそのまままとめたものです。「外国人の要望を聞いただけで、すぐに実行に移せるような中味ではない」(自民党幹部)という指摘もあるが、改革に向けて外国人の指摘に耳を傾けようという安倍内閣の姿勢を示したものと言えます。新潮社フォーサイトに書いた記事です。


 昨年1年間で日本株を15兆円買い越した海外投資家の売りが続いている。日本取引所グループの集計では、1兆1090億円の売り越しだった1月に続いて、2月は829億円、3月は5806億円といずれも売り越しだった。ウクライナ情勢など海外市場が不安定化していることも一因だが、日本の下げの大きさが目立つ。モルガン・スタンレーMUFG証券日本担当チーフ・アナリストのロバート・フェルドマン氏は、海外投資家は安倍晋三首相が改革を具体化できるか疑念を持って見ていることが背景にあると繰り返し指摘している。つまり、日本が投資先として魅力的な国に本当に変われるかどうか、海外投資家はまだ確信が持てていないというわけだ。 こうした外国人の姿勢は証券投資だけでなく、企業買収や日本への事業進出など「対内直接投資」にも表れている。対日直接投資の残高は17兆5000億円だが、GDP国内総生産)に対する比率は3.9%に過ぎない。英国は49.8%、フランスは34.7%、米国は23.2%で、ドイツでも20.0%に達するから、まさにケタ違いなのだ。アベノミクスは、この17兆5000億円の対内投資残高を倍増させ35兆円にすることを目標に掲げているが、… 以下「フォーサイト」で(有料)→http://www.fsight.jp/26183