「菅ギレ」に逆ギレした官邸周辺議員。菅降ろしで「期限付き連立」に動くも綱渡り

 東日本大震災の復旧対応が後手に回る中で、永田町では「菅降ろし」が激しさを増している。なかなか決断できなかった谷垣禎一自民党総裁も不信任案提出の「腹を固めた」(逢沢一郎国会対策委員長)といい、週明けから政局が本格化しそうだ。
 だが、今なぜ、震災後という危機の最中に首相交代なのか。国民にはとんと理解ができない、というのが本当のところだ。だが、官邸周辺の議員たちに聞くと、「菅さんでは限界」なのだ、という。

 菅さんの激情性格「イラ菅」はつとに有名だが、震災後は周囲の議員や官僚にキレまくる「菅ギレ」状態が続いていた、という。原発事故直後の海水注入について「オレは聞いていない」とキレて一時中断させたという話も、真偽はさておいても、「さもありなん」という話なのだ。

 事実上、総選挙が封じられている中で、迅速な震災対応には、民主党自民党が連携するしかないと考える“現実派”が増えており、期限を区切った連立を模索する動きが出ている。ちなみに、海水注入中段問題をしつこく追及している安倍晋三・元首相は時限連立を早い段階から言ってきた。

 首相官邸に近い民主党議員の間でも、相次ぐ「菅ギレ」に呆れ果て、逆ギレしている人たちが増えている。相次いで民主・自民合同の議員連盟が誕生しているのも、こうした動きだ。自民党からすれば、こうした民主党の逆ギレ派が、不信任案に造反賛成してくれることを願っているわけだ。

 だが、そんな永田町の論理が国民に通じるかどうか。不信任案を出すことで、自民党自身が見限られるのではないか、造反した民主党議員は次の選挙で国民に見放されるのではないか。そんな恐れを口にする議員が少なくない。不信任案を可決したとしても、政治空白をつくらずに、震災対応「救国内閣」を立ち上げることができるのかどうか。綱渡りだろう。