「保健医療2035」が求める「発想の大転換」とは

「今後、限られた財源をできる限り効果的・効率的に活用し、保健医療サービスから得られる価値の最大化を図る」

 厚生労働省が設置した「『保健医療2035』策定懇談会(座長・渋谷健司東大大学院教授)」は6月9日、報告書をまとめ、20年後に目指すべき日本の医療の姿をこう示した。そのうえで、これを「リーン・ヘルスケア」と名付けた。リーンとは「引き締まった、贅肉の無い」といった意味である。

 これまでの日本の医療について、「投入される資源を最大限効果的・効率的に活用し、患者の得られる価値に応じた価格設定や予算投入などを行う方法や方針が必ずしも明確でなく、保健医療の持つ価値の最大化が実現されていなかった」と批判。「20年後に向け、世界最高水準の持続可能な保健医療システムを構築するためには、保健医療システムへの投入資源に対して、人々が得られる価値を最大化することが必要である」とした。

 様々な立場の人が関与した懇談会の報告書のためか、文章が硬く、言い回しもこなれていないが、要するに、これまでのようなジャブジャブに医療資源を投入するような無駄なやり方は無理になる、と言っているのだ。これまでは、どれだけ効果が上がるか具体的に分からなくても、良いとされている検査や手術、投薬を大量に行ってきた。もちろん、国や健康保険の財政が豊かな時代は、そんな「物量作戦」も可能だったが、健保の財政赤字が増え、国家財政も借金漬けになる中で、もっと効率的におカネを使いましょう、と提言しているのである。ある意味、発想の大転換を求めているのだ。

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