新潮社フォーサイトに1月28日に掲載された拙稿です。ぜひご一読ください。オリジナルページ→
https://www.fsight.jp/articles/-/47716
ドイツのちょっとした旧家では「ケラー」と呼ばれる地下倉庫に、「ナポレオン金貨」などの金貨が代々保管されている。いざという時に、その金貨を持って逃げるというのだ。何度も戦場となった経験のあるドイツなど欧州の人たちは、「どうやって財産を守るか」を真剣に考える“遺伝子”を持っている。
インフレに対する「恐怖心」も代々受け継がれている。1920年代のドイツでは、猛烈なハイパー・インフレーションに見舞われた。第1次世界大戦の敗戦で賠償金を課されたことなどから財政が破綻、金本位制から離脱してペーパーマネーを刷り続けた。1923年6月までにマネーサプライ(通貨供給量)は大戦前の2000倍に増加、物価は2万5000倍以上になった。パン1個が1兆マルクになり、乳母車いっぱいの紙幣を支払いのために運ぶ姿を古写真で見たことがあるだろう。
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