アベノミクスの真価を占う「モラトリアム法」の後始末

 亀井静香氏が金融担当相として半ば強引に導入した「金融モラトリアム法」が3月末で切れます。この間、確かに倒産は減りました。しかし、一方で、5万社とも6万社とも言われるゾンビ企業が生まれました。歪つな政策が後に大きな問題を残す典型例と言えます。さて、この処理をどうしていくか。まさか一度に6万社を倒産させるわけにはいきませんが、徐々に退場させることになるのでしょう。フォーサイトに書いた拙稿です。

 経済再生を標榜する安倍晋三内閣がいよいよ難題に取りかかる。民主党政権が残した最大のツケの1つ「中小企業金融円滑化法」いわゆる「金融モラトリアム法」の後始末だ。これに関連して、2月26日の参院本会議で中小企業の経営再建支援を目的とした「地域経済活性化支援機構」を設立する法案が成立。同機構は3月中にも業務を開始する。 もっとも、設立と言っても一から新しい組織ができるわけではない。日本航空JAL)の再生を手掛けた官民出資の再生ファンド「企業再生支援機構」を改組して、スタートする。3月末で切れるモラトリアム法によって資金繰り危機に直面する中小企業の再生処理を行なうのが主要業務になる。 モラトリアム法は民主党政権交代して金融担当相に就いた亀井静香国民新党代表(当時)が強硬に導入を主張。2009年12月に時限立法として施行された。当初はリーマン・ショック後の企業の資金繰り難を救済するのが目的で、2011年3月末までの時限措置だったが、2度延長されていた。それがいよいよこの3月末で切れるわけだ。 モラトリアム法が切れれば5万−6万社が倒産 この法律では中小企業などの要望があれば、できる限り返済条件の変更… 
以下はオリジナルページでお読みください(有料)⇒新潮社フォーサイトhttp://www.fsight.jp/15239