2011-01-01から1年間の記事一覧

円高を活かせない日本の金融業 スイスに習う債権国型金融

WEDGEで連載中の「復活のキーワード」は、問題点を指摘するだけでなく、できるだけ具体的に対策を提言することを狙っています。あくまでもポジティブに。日本の復活を信じて、アイデアを出し続けていくことも、メディアの使命だと思います。遅くなりま…

懲りない民主党内閣が設置を急ぐ「原子力安全庁」の独立性に疑問符。自らの公約棚上げで、またも霞が関に擦り寄り?

オリジナルページ → 現代ビジネス http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31344 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの究明に当たる、政府の「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東京大学名誉教授)が12月26日に中間報告をま…

財務省も困惑する野田内閣「霞が関贔屓の引き倒し」。公務員優遇で国民の怒りが爆発すれば増税シナリオは破綻する

オリジナルページ → 現代ビジネス http://gendai.ismedia.jp/articles/-/30741 「ここで公務員優遇だという国民の不満が爆発したら、消費増税などすっ飛んでしまう。民主党はいったい何を考えているんだ」 財務省の中堅幹部はそう言って語気を荒げた。 財政…

「バブル期の遺産」とは言えない オリンパスがはまった「禁じ手資産運用」

12月1日発売の「エルネオス12月号」に掲載した拙稿を、編集部のご厚意で再掲させていただきます。 → http://www.elneos.co.jp/磯山友幸の≪生きてる経済解読≫ 連載──⑧■「特異な問題企業」ではない M&A(買収・合併)をめぐる不透明な取引が指摘されていた…

オリンパスの粉飾は「重大ではない」? 上場廃止回避のムードが強まる東証周辺に霞が関の影

オリンパスは過去の決算を修正して発表したことから、新聞各紙はこぞって「上場維持の公算が大きくなった」というトーンの記事を掲載しています。20年近くも市場を欺いて生きた会社を上場廃止にしなければ、もはや罰則としての上場廃止は事実上なくなり、市…

もう「カネ余り」は終わった。日本企業にも忍び寄るクレジットクランチの大津波。資金繰り確保が最大の課題に。

欧州の金融危機は日本も無縁ではありません。12月7日に現代ビジネスにアップされた原稿を編集部のご厚意で以下に再掲いたします。 オリジナルページは→ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/29055 欧州を中心とした金融危機が一向に収まる気配を見せない。…

「オリンパスで終わりではない」---あのFACTA発行人阿部重夫氏が警鐘を鳴らす日本企業にはびこる「損失先送りの遺伝子」

オリンパスをスクープしたFACTA発行人の阿部重夫さんは私の古巣、日本経済新聞証券部の尊敬する先輩のひとりです。日本のジャーナリズム界きってのインテリでありながら、最も過激な調査報道記者でもあります。オリンパス問題を発掘した山口義正氏も日経証券…

オリンパスに上場廃止反対論の欺瞞

証券界の大幹部と会ったら、「磯山君がいくら正論を書いたって、オリンパスは上場廃止になりませんよ」と言われました。東証にはオリンパスを上場廃止するなという猛烈なプレッシャーがかかっているそうです。その大幹部がありがたくも「正論」と指摘した記…

日本の金投資の「第一人者」豊島逸夫に聞く!金はまだまだ儲かりますか?

豊島逸夫さんは異色のエコノミストです。金を通して世界経済を見ることにおいて、日本に他の追随を許さない特異な位置を占めています。その豊島さんが長年務めたワールド・ゴールド・カウンシルを退職・独立して、10月から豊島逸夫事務所を開きました。中国…

再び"超難関"になった試験で、公認会計士の質は上がり、企業不祥事は防げるか。

オリンパスの巨額損失隠し事件で、取締役や監査役などによる企業経営へのチャック機能が問われているが、外部の専門家として企業決算に目を光らせてきたはずの公認会計士の「質」が改めて問題になっている。そんな最中、金融庁の公認会計士・監査審査会が11月…

会計界のAKB48の真面目な提言

会計学者や会計士など48人による震災復興についての提言集。八田進二・青山学院大教授や藤沼亜起・元公認会計士協会会長らが編者になってまとめている。日頃、数字を通じて経営を見つめている人たちだけあって、説得力のある具体的な提言が多い。 また、図ら…

「東証大証来秋合併」で大証株急騰の裏。 大証の60%を持つ外国人が狙う高値売り逃げ

日本経済新聞が朝刊1面で「東証大証、来秋合併」と報じた7日、上場している大阪証券取引所の株価が急騰した。同日の終値は39万1500円と、前の日の終値36万5000円から、わずか1日で7・3%も上昇した。翌8日は、日経新聞の報道を、他の新聞などが後追いしたこと…

「予算編成」の文字は消え、メンバーも改革派は少数。財務省の思惑通り「骨抜き」になった国家戦略会議

組織のコントロール方法を変えようと思えば、そのガバナンスの仕組みを変える必要が出てきます。霞が関の官僚主導だったものを、政治主導に本気で変えようと思えば、政治主導のためのガバナンスの仕組みを構築し直さなければなりません。野田佳彦氏が首相に…

東証大証統合を金融庁がせかすワケ

本日11月7日朝刊で日本経済新聞が「東証と大証が来秋合併」と大々的に報じました。残るは合併比率のみとのことですが、報道で大証の株価が急騰してしまいました。これではなかなか合併比率が決められないのではないでしょうか。斉藤CEO、米田COOで両者…

オリンパス、大王製紙、九州電力――音を立てて崩れる日本のコーポレートガバナンス

新潮社のフォーサイトにはだいたい月に1本、原稿を書かせていただいています。紙媒体に見切りを付け、電子媒体のみで有料モデルを追求している同サイトは、アップする記事も毎日1本ペース。ページビューを稼ぐために、とにかく本数をアップする他の媒体と…

このまま経済成長がなければ、 国民はどんどん貧しくなっていく

ビジネス情報月刊誌「エルネオス」11月号 連載──?硬派・経済ジャーナリスト 磯山友幸の≪生きてる経済解読≫ 分配論重視の経済政策 最近、何人かの政治家から、「成長などしなくても、幸せに暮らすことができればいいではないか」という発言を聞いた。日本は…

カルロス・ゴーンは45歳で日産のCEOになった。「70歳まで働ける社会」と「定年70歳」はまったく意味が違う

オリジナルページ→ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/24196 最近「老害」という言葉を余り聞かなくなった。老人ということば自体が一種の差別語扱いされていることもあるが、高齢者が会社や政府組織の中に居座るケースが増えていることと無関係ではない…

監査法人トップ「民下り」に疑問符

2011年10月号 連載 [監査役 最後の一線 第6回] by 磯山友幸(経済ジャーナリスト) →http://facta.co.jp/article/201110062.html今年6月24日に開かれたクボタの株主総会でちょっとした異変が起きた。議案採決の時のことだ。ほとんどの議案が100万を超す賛…

経済困窮化をバネに「知事・市長ダブル選挙」を狙う「大阪維新の会」の戦略

大阪はまさに仁義無き戦いの様相を呈しています。11月27日に投開票予定の大阪市長・大阪府知事ダブル選挙の話です。10月23日の大阪維新の会の全体会議で、下馬評どおり、橋下徹氏が府知事辞任を表明、市長選への鞍替え出馬を表明しました。府知事候補には維…

円高を利用した新しいモノづくり 世界のクリエイターを日本に呼べ

WEDGEの連載は予想以上に反響があります。つい先日も某大臣にインタビューした際、「WEDGEのコラム読んでますよ」と言われました。丸丸一カ月の間、新幹線のグリーン車に無料で置かれ、車内販売されるわけですから、単純な発行部数では測れない影響力が…

世界最高水準給料、再び

オリジナルページ → http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111003/mca1110030502003-n1.htm 景気の低迷が続く中で、会社員の給与はほとんど上がっていない。それでも日本の製造業の平均給与は再び世界最高水準に近づいていると聞かされれば、誰しも耳を疑うだ…

政府と東電の嘘を暴けるか。憲政史上初めて国会が挑む「民間人による原発事故調査委員会」の成否

東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、政府や東京電力の対応には、国民ばかりか国際社会も疑念の目を向け、不信感を募らせてきました。信頼を回復するためには、徹底した事故原因の究明と、その後の政府や東電の対応への検証が不可欠…

超党派議員43人が参加--「日の丸、君が代、靖国神社だけではない『保守』の本質」を田中康夫に聞く 「消費税、放射能、公務員」で政治家は分かれる

政策的にみると、民主党の中はバラバラで、自民党も一本にはまとまっていません。政党と政策がねじれを起こした状態が続いているわけです。そんな中で、政策で一致できる議員が政党の枠を超えて集まろうという動きがいくつも出ています。その一つに「日本を…

ギリシャ危機がこのまま長引いても ユーロ解体があり得ない3つの理由

月刊『エルネオス』連載──⑥ 2011年10月号 硬派経済ジャーナリスト 磯山友幸の≪生きてる経済解読≫編集部のご好意で以下に再掲させていただきます。 オリジナル→ http://www.elneos.co.jp/ 日常生活にも国境はない 欧州連合(EU)域内の信用不安が大きなニュ…

産業空洞化は円高だけが理由ではない。東電維持、法人税据え置き、定年延長など「政策の失敗」が本当の原因だ 韓国のインフラコストは日本より劇的に安い

円高は外部要因によって起きているのだから如何ともしようがない。そんなムードが蔓延しているように思います。果たしてそうでしょうか。現在の円高は金融・財政政策や経済政策の結果として起きている面も否定できないのではないか。円高だからといって、日…

「丸2年で平均3人目」にほくそえむ霞が関。副大臣・政務官人事が示す民主党「政治主導」の掛け声倒れ

昨日、野田内閣になって初の衆議院予算委員会が開かれました。野党からは、野田内閣が霞が関にコントロールされている、という指摘が繰り返されていました。民主党政権になって、大臣・副大臣・大臣政務官の「政務3役」が政策を決める「政治主導」が打ち出…

勝財務省が東証「斉藤おろし」画策

FACTA 2011年9月号 連載 [監査役 最後の一線 第5回] 8月20日頃に配本された記事ですが、編集部のご厚意で資料として再掲させていただきます。 →http://facta.co.jp/ 財務省は8月2日付で中尾武彦国際局長を財務官に昇格させるなど、幹部人事を発令した…

「反IFRS活動家」を金融庁参与に任命した自見金融相「政治主導」の危うさ 国民新党に金融行政を丸投げする野田政権

本日配達されたFACTA10月号に、「自見金融相が振興銀受け皿に政治介入」という記事が載っていました。この件は私は取材していないので正確なところは分からないのですが、かなり筋の悪い話と言っていいでしょう。金融には素人の自見大臣が、何でそんな…

「日本が成長できない」は嘘 シンガポール知恵の七柱

この10年間、シンガポールのGDP(国内総生産)額は1・7倍になったのに、日本はわずか7%増に過ぎないというと、日本の低成長ぶりが浮かび上がります。なぜ、シンガポールは猛烈な経済成長を遂げたのか。その1つの要因として、明確な「国家ビジョン…

天下り死守だけを狙う農水官僚 磯山友幸

72年ぶりにコメの先物取引が復活して9月8日で1カ月がたった。売買高は低迷を続け、このままの売買水準が続けば、取引所としては赤字だろう。もともと赤字体質の東穀取自身には残念ながら復活に向けたビジョンがない。株主でもあり取引参加者でもある商品…