アベノミクス成長戦略を脅かす「規制改革会議」の無力

アベノミクスの成否は3本目の矢にかかっている、と多くの人が指摘します。大胆な金融緩和や機動的な財政出動はこれまでのところ、予想以上の期待感をもたらし、円安株高になっていますが、この流れが続くかどうかは、成長戦略次第でしょう。今、成長戦略策定の現場をみていると、霞が関との水面下のバトルが繰り広げられています。果たして安倍首相はリーダーシップでその抵抗を退けることができるのでしょうか。フォーサイトに書いた拙稿です。

「規制改革は安倍内閣の1丁目1番地であります。成長戦略の1丁目1番地でもあります」 今年1月24日、安倍晋三首相は官邸内で開いた「規制改革会議」の初会合でこう挨拶した。それから3カ月。アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」の取りまとめ段階に入った4月末になると、首相周辺の“改革派”からは同会議に対する失望の声が聞かれ 始めた。 安倍首相は初会合でこうも言っていた。「前政権における規制改革は、どちらかと言えば、規制改革のための規制改革になっていた。安倍政権においては、目的ははっきりしている。経済活性化のための規制改革であります。規制改革により経済の成長、そして雇用を作っていくこと が目的であります。その目的を明確化させていきたい 」 つまり、規制にどれだけ切り込めるかに、成長戦略の成否がかかっているとしたのである。 期待外れだった「武器」 実は、規制改革会議には強力な「武器」があった。「国際先端テスト」である。これは安倍氏が政権を取る前、昨年末の総選挙で掲げた「政権公約」に盛り込まれていたものだった。 公約の具体的項目を記載した「自民党政策BANK」の「経済成長」の項には、「大胆な規制緩和」とい…

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