「18歳から選挙権を!」 安倍首相夫人と「ACT18」共同発起人を務める高校生の思い

日本では選挙権が得られるのは20歳ですが、実は世界的にみて20歳というのはごく少数です。ほとんどの国が18歳以下で、欧州などでは16歳に引き下げる動きも広がっています。そんな中、日本でも選挙権年齢を18歳に引き下げようという動きが出てきました。中でも20歳以下の高校生、大学生からも引き下げを求める声が出始めています。ACT18という選挙権年齢引き下げ運動に携わる高校生にインタビューしました。オリジナル→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39918


今年3月末、年度末としては始めて国債などの「国の借金」が1000兆円の大台に乗せた。次世代へのツケ回しである。

「私たちは生まれながらにして借金という義務を負っている。なのになぜ選挙権という権利はないのでしょうか」「自分たちの未来は自分たちで作りたい」。そう中嶋めぐ実さん(17)は語る。

選挙権年齢の18歳への引き下げに向けて活動する「ACT18」で、首相夫人の安倍昭恵さんらと共に共同発起人を務める高校生だ。政治に無関心な人が多いと言われる中で、なぜ若者の政治参加を求めるのか。中嶋さんに聞いた。

都知事選では高校生に「街頭模擬投票」を呼びかけ
 問 なぜ若者の政治参加問題に関心を持ったのですか。

 中嶋 高校1年生の時に「日本の次世代リーダー養成塾」に参加しました。非日常の2週間だったのですが、その時にプログラムで「模擬国会」というのがありました。自分たちで政策を考え、それを訴えて首相を選ぶのです。

その模擬投票で、私が投票した候補者が1票差で当選したんです。1票の重要さを痛感したのですが、その頃から政治に関心を持ちました。

それまで幼稚園から同じ学園で学び、限られたコミュニティの中にしかいなかったのですが、同じ高校生でも意識の高い人たちがたくさんいるのだということを知りました。カッコイイと感じて憧れました。そして、だんだん、自分の意見を持つようになってきたと思います。

中高と続けてきた音楽部では最後は部長でした。2年生で引退した後、「Teen’s Rights Movement(TRM)」という選挙権年齢の引き下げなどを求める高校生の集まりに加わりました。今は共同代表を務めています。

今年初めの東京都知事選挙では街頭模擬投票というのを行い、渋谷で高校生に声をかけて、実際の候補者の政策などを簡単に説明し、模擬投票してもらいました。

もちろん投票結果は実際の開票後まで公表しませんでしたが、高校生にとっても政治や選挙は他人事ではないのだ、と訴えることができたと思っています。

「2年以内に18歳から選挙権」を目指して
 問 18歳への選挙権引き下げを目指すACT18という運動で共同発起人を務めています。

 中嶋 はい。いくつかの団体が共同で設立し、シンポジウムの開催などを行っています。「8党合意」で選挙権年齢の18歳への引き下げ方針が確認されているので、何とか早期に実現するよう私たちも働きかけていきたいと思います。

 問 憲法改正のための国民投票法の改正で、4年後から国民投票の選挙権は18歳になりました。それに合わせて通常の選挙権を2年後をメドに18歳に引き下げることを目指すと与野党が合意したものですね。中嶋さんはなぜ18歳にすべきだと考えているのですか。

 中嶋 同級生などからも、何で投票に行きたいの、と聞かれます。自分たちの未来は自分たちで作りたい。そのためには自分たちが選んだ人を政治の場に送り出すことが大事だと思います。

中には、18歳に引き下げたって、どうせ投票に行かないだろう、という人もいます。18歳ではまだまだ未熟だという指摘もあります。でもそれはおかしいのではないでしょうか。

20歳になっても、30代でも40代でも、この人大丈夫? という人はいますよね。18歳で社会人として働いている人たちも大勢います。年齢で一律にダメだというのはおかしい。そもそも世界では20歳なんていう国はほとんどないんですから。

 問 8党合意を巡っては各党の対応はまちまちで、2年以内に法改正できるかどうか慎重な声もあります。

 中嶋 2年後の7月に参議院議員選挙がありますが、私は8月生まれなので、その時19歳なのです。それまでに法律が改正されて18歳に行き下げられていれば、私は投票に行けますが、今のままでは20歳なので、選挙権はありません。私個人にとっても、この2年以内という時間は重要な意味があります。

 問 世界をみると、選挙権年齢の引き下げが進んで、先進国では16歳というところも増えてきました。

 中嶋 私も本当は16歳ぐらいに引き下げるべきだと思っています。ただ、高校生どうしで議論していても、16歳は幼いという意見もあります。クラブ活動などで部長などを務める高学年になってはじめて責任感が出てくる、という声もある。

ただ、高校3年は大学受験がありますから、他のことに目を向ける余裕がなくなるということもあるのではないでしょうか。高校に入った1年生から投票権があるというのが自然のような気もします。

安倍首相夫人も考え方を変えて「18歳から」に賛同
 問 投票したくても投票したい候補者がいない、としばしば言われます。立候補できる被選挙権年齢は現在25歳(参議院議員と首長は30歳)ですが、被選挙権年齢についてはどう考えますか。

 中嶋 被選挙権は年齢で縛る必要はないのではないでしょうか。仮に中学生が立候補しても選挙権を持つ人たちが「幼い」と思えば当選はできません。

 問 ACT18ではどんな活動をしていくのですか。

 中嶋 6月19日に高校生と大学生100人近く集まって国会議員会館でシンポジウムを開きました。国会議員の方にもたくさん来ていただきました。

 問 共同発起人の安倍昭恵さんは挨拶に立って「選挙権18歳引き下げには反対だった。だが、若い皆さんと色々な活動をする中で、考えが変わった」と言っていましたね。

 中嶋 選挙権の問題が議論されているんだという事を少しでも多くの高校生や、一般の人たち、国会議員に訴えていきたいと思います。

 問 シンポジウムでは安倍晋三首相からのビデオメッセージも流されました。その中に、権利には義務も伴うという言葉がありましたが、どう感じました。

 中嶋 私たちは膨大な国の借金を背負わされています。この借金を返す義務を負わされているわけでしょう。それだったら権利も下さい、という感じですね。