12年連続「日本人」の減少幅は年々拡大。とてつもない人口減少の破壊度 子供対象の業種に早くも試練

現代ビジネスに4月18日に掲載された拙稿です。ぜひご一読ください。オリジナルページ→

https://gendai.media/articles/-/109103

釣瓶落とし、外国人抜きの減少幅

日本の人口減少が止まらない。総務省が4月12日に発表した2022年10月時点の日本の総人口は1億2494万7000人と前年に比べて55万6000人減り、12年連続の減少となった。ピークだった2008年は1億2808万4000人だったので、それと比べると313万7000人も減ったことになる。昨年の出生数が80万人を割り込むなど少子化が一段と深刻化していることが大きく影を落としている。

だが、この数字はまだマシな数字なのだ。というのも前述の2021年から22年にかけての減少数55万6000人は、その前の1年間の減少数64万4000人に比べ、減少幅が小さくなっている。実は、総人口には日本に住む外国人も含まれる。労働者として日本にやって来た外国人が増加した分、全体の減少幅が縮小したのだ。

日本人の人口は1億2203万1000人で、1年間で75万人も減少。総人口同様、11年連続の減少だが、こちらは年々減少幅が拡大している。ちなみに前の年の2022年は61万8000人の減少だった。日本人の減少はそれこそ釣瓶落としなのだ。

人口増減率で最も減少率が大きかったのは今回も秋田県で93万人と1万5000人減少、率にして1.59%減った。秋田は10年連続で全国最大の減少率を記録している。早晩、東京都世田谷区よりも人口が少なくなることが明らかな情勢だ。

秋田の場合、少子化だけでなく、「社会減少」つまり県外への流出も大きい。県内人口に占める15歳未満の比率は9.3%と、全国47都道府県で唯一10%を割り込んでいる。一方で75歳以上が全国で唯一2割を超え、20.6%となった。若年世代が急速に減少しており、このままでは農業などを中心に人手不足が深刻化、地域の産業が崩壊する危機が高まっている。産業構造が立ち行かなくなれば、働き口が減り、県外流出に拍車がかかるという悪循環に陥る。

秋田県、地域経済危機の構造

前回このコラムで、「もはや抜本的な移民政策を考える時」だと書いたが、実際にはすでに、大幅に日本人が減る中で、外国人の存在がどんどん大きくなっている。全国平均では総人口の2.33%を外国人が占めるようになった。都道府県別にみると、東京都の外国人比率はすでに4.23%に達している他、愛知が3.56%、群馬が3.29%、三重が3.04%となっている。

都道府県の総人口は東京都を除いて減少しているが、その中でも外国人の増加が著しい県は人口減少が緩やかになっているのだ。九州でも総人口が多い福岡県は外国人比率も1.68%と九州他県に比べて高い。中国地方で人口の多い広島県も外国人は1.88%に達する。

逆に、東北や四国など外国人労働者が少ない地域は総人口の減少が深刻になっている。ちなみに秋田県の外国人の比率は0.43%と47都道府県で最も低くなっている。

そうした外国人をただ労働力として扱い、数年で母国へと返していくのか。それとも積極的に地域の定住者として受け入れていくのか。どう考え、制度を整備していくかで、地域経済の存亡に直結する。

年齢別人口を見れば将来が分かる

人口激減の破壊度を予測するには、年齢別の人口を見るのが手っ取り早い。年齢別統計で今最も多い年齢の人口が73歳の203万4000人、次いで49歳の203万人となっている。いわゆる団塊の世代団塊ジュニアの世代だ。

一方で、今年就職する年齢に当たる22歳は126万4000人だった。団塊ジュニア世代と比べて6割の人口になっているのだ。さらに、これから大学新卒年齢の人口減少が急速に進む。3年後には114万8000人、5年後には107万7000人になる。つまり、今後5年で新卒採用のパイが15%減ることが「確定」しているわけだ。

従来通りの採用方法を取り続ければ、5年後の新卒採用は企業にとって相当厳しいものになる。猛烈な売り手市場になるのは間違いない。そうなると日本型雇用のひとつの特徴だった「新卒一括採用」自体が崩れることになるかもしれない。

そこから10年くらいかけて100万人まで緩やかに減っていくことになる。今、7歳の人口が100万4000人なのだ。つまり、新卒採用年代が100万人を切るまでは幾分時間があるわけだが、一方で、子どもを対象にした業種にとっては試練の時が始まっている。6歳の新1年生は97万8000人いるが、3年後には87万1000人、6年後には79万8000人に減ることが「確定」しているのだ。わずか6年で対象年齢が2割も減るわけだから、子ども向けの学習塾や、子供服、玩具といった産業は存続が危ぶまれることになりかねない。

岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」と銘打って、少子化に歯止めをかけようと必死になっている。

今30歳代の人口は1365万人いるが、20歳代は1267万人と100万人減る。出産を考えるであろう30歳代の世代が10年後には100万人減るから、時間が経てば立つだけ生まれる子どもの数は減少傾向になる可能性が高い。1年代100万人を切った世代が結婚・出産時期を迎える20年後から30年後には出生数がさらに劇的に減る危険性が高いわけだ。そうなると壊滅的な人口減少が日本を襲うことになる。