IFRS、「米国は判断先送り」は本当か。嘘の材料を使って日本は先送りを決めた?

30日に開かれる企業会計審議会では冒頭、国際会計基準IFRSの全上場企業への導入先送りが決められるそうです。何の議論もなしにです。一部の企業人がまとめた“血判状まがい”が、ここまで政治的に効果を発揮するとは思いませんでした。反IFRS派の人たちはロビイストとしては猛烈に優秀です。
彼らに乗せられた自見金融担当大臣はIFRS先送りの自身の判断が日本の製造業を救ったと上機嫌で話しているそうです。
IFRSの彼らに、私の書いている記事は「悪あがき」と評されているようです。何と言われようとグローバル競争の中で日本企業が真の競争力を身に付け、日本経済が復活することを願って、事実を追いかけ、発信していきたいと思います。20年以上この問題を見続けてきた記者の責任だと思っています。

日本経済新聞の6月21日付けは「IFRSへの統一を表明していた米SECが、事実上判断を先送り」と書いていましたが、ちょっと話が違うのではないかと思い、米国在住のジャーナリストに聞いてみました。彼はSECに直接取材しています。彼によると、
「米国、管轄でいうならSECは、先送りとは一言も言っていない。スタッフレベルで、ロードマップ策定のうえで守るべき国益を語っただけ。SECのシャピロ委員長もコメントを避けた」
という話です。

彼は加えて、「金融庁経団連は嘘の情報を使って、日本の先送りを決めたわけです。金融庁の判断結果はおいておいて、嘘の材料を使って政策を決めるのは政策決定のデュープロセスに反します」という厳しい指摘を送ってきました。

金融庁幹部は遅まきながら米国へ出張するようです。是非とも米国で真実を見極めてきて欲しいものです。SECから本音を聞き出せる日ごろの人間関係があるかどうかが問われますが。。

FACTAの7月号にも前月号に続いてIFRS話を書いています。題して「なんちゃって血判状の腰砕け」。http://facta.co.jp/article/201107008.html 近いうちにブログへの転載を編集部からお許し願おうかと思っています。