『命を救われた捨て犬 夢之丞 災害救助 泥まみれの一歩』 (金の星社)

 WEDGEに連載中の『地域おこしのキーワード』、6月号では広島県の神石高原町で7月にオープンする自然を生かした公園「神石高原ティアガルテン」を取り上げます。自然いっぱいの高原で動物や人の命をいつくしむ事の大切さを学ぶ場にしようというのがコンセプトですが、その共同運営を担っているのが日本を代表するNGOのピースウインズジャパン(PWJ)。中核施設として広大なドッグランを公園内に設置。殺処分寸前のところを救われた保護犬を養育する犬舎を設置しています。その犬舎で暮らす夢之丞という犬を紹介した本が出版されました。

 
 ネパール中部を4月25日に襲ったマグニチュード7.8の大地震。5月5日現在で死者が7660人に達しているが、山岳地帯で孤立した集落も多く、依然として被害の全容は分かっていない。そんな中、日本からも医療救援チーム110人、空輸部隊160人が国際緊急救助隊として派遣されたが、災害救助犬として訓練を受けた夢之丞も行動を共にした。夢之丞はもともと施設で殺処分寸前のところをPWJに保護された。ガス室の前の自分の番を待っていた夢之丞の映像がPWJの手で残されているが、ガタガタと震えて失禁している。仲間の犬たちの断末魔の声を聞いてきた夢之丞はその後も人を恐れて、なかなかなつこうとはしなかった。PWJの犬舎で少しずつ人に慣れた夢乃丞は災害救助犬としての訓練を受けるまでになる。2014年夏の広島土砂災害では行方不明者2人を発見。ネパールでも活躍が期待されている。人に殺されかけた犬が人を救う。今ではテレビのワイドショーなどにも取り上げられるようになった夢之丞は、PWJが進める犬の殺処分ゼロに向けた活動の象徴的な存在になっている。
http://peace-wanko.jp/concept