スイス時計「輸出動向」で占う2019年「世界景気」

新潮社フォーサイトに2月18日にアップされた拙稿です。

 

 高級時計の代名詞であるスイス製時計の全世界向け輸出額の推移を見ると、世界経済の動向が見えてくる。(スイス「時計輸出底入れ」で期待できる「世界経済」の先行き 2017年12月28日参照)

 スイス時計協会が発表した2018年のスイス時計輸出額は211億7320万スイスフラン(約2兆3260億円)と、2017年に比べて6.3%増えた。輸出額の増加は2年連続。時計の需要を見る限り、2018年は世界的に消費が盛り上がった年だったことがわかる。

・・・以下、新潮社フォーサイトでお読みください(有料)→https://www.fsight.jp/articles/-/44896

 

生産者をリスペクトする世界最高品質のコーヒー

WEDGE 2月号(1月20日発売)に掲載の「Value Maker」です。

 

2001~03年に起きた「コーヒー危機」は、川島良彰さんがサステイナブル・コーヒーの必要性を考えるきっかけとなった。これが「世界最高品質のコーヒーを追求する会社」の立ち上げにつながった。
 その年、コーヒー価格は国際相場で生産コストの約半分まで大暴落したのである。そのため、世界のコーヒー生産者が壊滅的な打撃をこうむり、収入の激減で借金まみれになって土地を取られ、子どもを学校に通わせられないといった事態が発生した。
 原因はコーヒーの世界に投資ファンドが参入したこと。国際相場を見て売り買いされるマネーゲームの対象になった結果、実際の需要から乖離して相場が乱高下した。その反動が襲ったのだ。
 「このままでは生産者が食べていけず、コーヒーの品質や生産量も下がり、そのしっぺ返しが必ずある」
 そう川島さんは危機感を抱いた、という。
 どうすれば、それを回避できるか。
 18歳から中南米にわたって生産者の苦労を知り尽くした川島さんの答えは明確だった。
 「国際相場に関係なく、コーヒーの品質に対してきちんと価格を設定し、継続的に生産者から直接仕入れる仕組みを作ればいい。」
 コーヒー生産者から直接買い付ければ、国際相場に振り回されずに、生産者の収入は増える、というわけだ。だが、いわゆる「フェア・トレード」とは違う。なんでもコスト以上で買うというのではなく、いいものを作ればその対価が支払われる。
生産者が品質向上に努力すれば、収入が増える「ビジネス」の仕組みだ。
 さっそく当時勤めていたUCC上島珈琲で企画を上げた。だが、あっさり却下される。
 無理もなかった。コーヒーは国際相場で商社が買い付けたものを仕入れるのが当たり前。生豆の品質で価格を相対で決めるというのは、従来の業界慣行に反旗を翻すに等しかった。
 結局、川島さんは会社を辞めて08年に起業する道を選ぶ。「ミカフェート(Mi Cafeto)」の誕生だった。
 ミカフェートではコーヒーを品質によってグレード分けすることから取り組んだ。
「コーヒーはフルーツなんです。同じ農園でも畑の土壌や日照時間で味はまったくちがう」と川島さんは言う。
 優良農園の中でも最も環境の整った特級畑の完熟豆を、収穫の最盛期に収穫し、厳選する。そうした「最高級」と言えるコーヒーは農園の全収穫量の0.3%にも満たない。
 最高級ランクは「グラン クリュ カフェ」と命名した。フランス・ワインの最高級と同じである。

18歳でエルサルバドル

 川島さんは静岡のコーヒー焙煎卸業を営む家の長男として生まれた。コーヒーの香りと共に育ったと言ってもいい。コーヒー栽培の現場に行きたい一心で、1975年、18歳でエルサルバドルに渡り、国立コーヒー研究所に入った。
その後、内戦が勃発、米国に避難していた81年にUCC上島珈琲の上島忠雄会長(当時)にスカウトされる。同社がジャマイカやハワイで取り組んだコーヒー農園の開発に携わった。コーヒー栽培を続けて4~5年たったある日、「コーヒーはフルーツなんだと気付いた」のが、品質でコーヒーを売るというアイデアの原点だった。
 川島さんが日本を後にした頃、ワインはまだまだ嗜好品としての地位を確立していなかった。バブル期を越えて、ワインは広く日本社会に浸透。産地やぶどうの品種、収穫年度などで価格が大きく違うのが「当たり前」になった。
ところが、コーヒーは逆の道を歩む。街にあったこだわりの喫茶店が地上げされて姿を消し、名ばかりの嗜好品という飲み物になってしまった。水をあけられたワインへの挑戦。それがコーヒーに「グラン クリュ カフェ」というグレードを付けた川島さんの思いだった。
 ところが、08年に開業したミカフェートは、試練に直面する。販売を開始した11月1日は、リーマンショックの直後。高額品のみならず消費が一気に冷え込んだ。2年間、貯金を取り崩して耐えたが、その時、父親に言われた言葉が今も忘れられない、という。
「こんなうまいコーヒーは飲んだことがない。ここで生き残れたら本物になれる」
 高い値段を払う価値があるコーヒーだと、分かってもらえるようになったきっかけは、高級ホテルのワインスクールに通う人たちとの出会いだった。コーヒー通ではなく、ワイン通の人たちがミカフェートを世に広めてくれたのである。
次にお客さんになったのが葉巻愛好家。コーヒーを嗜好品と見てくれたのである。そんな時、日本航空がファースト・クラス用に「グラン クリュ カフェ」を採用する。これが「ミカフェート」を世に知らしめる大きなきっかけになった。
 品質にこだわる川島さんは、コーヒーの輸送方法も変えた。日本で流通しているコーヒーの大半は通常のドライコンテナで運ばれる。赤道直下では高温になり品質の劣化は避けられない。
ミカフェートのコーヒーは温度を一定に保てるリーファーコンテナを使い、「グラン クリュ カフェ」は空輸する。
 生豆の保管方法を確立し、世界で初めてコーヒーのビンテージ化にも成功した。焙煎した「グラン クリュ カフェ」は香りを逃さないようにシャンパンボトルに密封されて販売する。1本100グラム(約5杯分)で、15万円するものもある。
1杯当たり3万円程度だ。
 「グラン クリュ カフェ」のコーヒーができる畑には必ず毎年川島さんが足を運ぶ。現在6ヵ国9つの農場で収穫したものを「グラン クリュ カフェ」として取り扱っている。特級だった畑でも、品質が悪ければ、その年は発売しない。
 「プルミエ クリュ カフェ」というカテゴリーは、優良農園の中の一級畑だけで穫れた最高クラスのコーヒーだ。畑の選別、栽培から収穫、精選、輸送、保管の全工程に設けたミカフェートの品質基準を全てクリアしたものに付けられる。
 川島さんは、農家と話し、お互いの考え方に共鳴しなければ取引を始めない。「生産者とはフィフティ・フィフティ(対等)ですから」と川島さんは言う。
 年商12億円になったミカフェートの売り上げの7割は、卸販売になった。川島さんのスタイルに共鳴したホテルやレストランなどに販売している。個人経営のコーヒー店にも卸すが、取引開始前に必ず川島さんが面接する。
コーヒーを売買する関係を超えて、生産者に利益をもたらしコーヒー栽培を持続させるための「価値を生み出す同志」を広げるための関門なのだろう。

Wedge (ウェッジ) 2019年2月号【特集】クラッシャー上司が企業を蝕む
 

 

外国人労働者「過去最多」で顕在化する「移民元年」

新潮社フォーサイトに2月7日にアップされた拙稿です。オリジナルぺージ→

https://www.fsight.jp/articles/-/44854

 

 改正出入国管理法の施行で、今年4月から新たな資格の外国人労働者が日本にやってくる。これまでは単純労働とされ、認められて来なかった分野に、外国人が「労働者」として入ってくる。技能が高いと認められれば、事実上無期限に日本で働ける道も開けた。この段階になっても安倍晋三内閣は、「いわゆる移民政策は取らない」と言い続けているが、将来振り返ってみれば、2019年が「移民元年」だったということになるだろう。

 いくら「移民政策ではない」と言い続けていても、日本で働く外国人が大量に増えている現実を覆い隠すことはできない。期限が来たら帰ってもらう建前だが、現実には彼らなしには社会が回らなくなり始めている。

ベトナム人が「激増」

 厚生労働省が発表した2018年(10月末時点、以下同)の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、届け出のあった外国人労働者は146万463人と1年前に比べて18万人余り増加、過去最多を記録した。2008年は48万人余りだったので、10年で100万人近く増えたことになる。

 特に、アベノミクス円高が是正され、企業収益が回復した2013年以降の伸びが大きく、2015年以降は伸び率が10%を大きく上回る伸びが続いている。景気の回復で人手不足が鮮明になるにつれ、働き手としての外国人へのニーズが急速に高まった。

 外国人労働者で最も人数が多いのは中国人で、39万人弱と全体の27%を占める。だが、ここ数年、伸び率は鈍化傾向にある。逆に目立つのはベトナム人で、全体の22%を占める32万人弱まで増えている。2014年には6万人強しかいなかったことを考えると、まさに「激増」である。

 次いでフィリピン人が16万人強、ブラジル人が13万人弱、ネパール人が8万人強となっている。ネパール人の急増もここ数年のことだ。

 ベトナム人やネパール人の多くは、「留学生」として日本にやってくる。出稼ぎが目的だが、いわゆる単純労働以外に技能を持たない若者たちは、日本で就労できる在留資格を得ることができない。日本語学校への留学で授業料が全額払い込まれていれば、比較的簡単にビザが取れる。留学生は週28時間までアルバイトが認められているほか、夏休みなどには週40時間まで働くことが可能だ。

 外国人雇用状況で、こうしたアルバイトたちは「資格外活動」というくくりで集計されている。本来、働く資格ではない、というわけだ。この「資格外活動」として働いている外国人は34万3791人。全体の23.5%を占める。2015年に20%を突破、年々比率が上がり、2018年は過去最大になった。

 もうひとつ、割合が増え続けている資格がある。「技能実習」だ。2018年に初めて30万人を突破、30万8489人と全体の21.1%を占めるようになった。この割合も過去最大である。

「留学生」に依存

 では、外国人労働者はどんな業種で働いているのだろうか。

 最も多いのは製造業で30%。工場などでの非熟練工としての仕事だろう。次いで、サービス業が16%、卸売・小売業が13%、飲食店・宿泊業が13%となっている。建設業はかなり多いイメージだが、届け出られている外国人は6万8604人で全体の5%だ。

 卸売・小売業や飲食店・宿泊業は、従来、技能実習の対象として認められておらず、ここで働いている外国人はほとんどが「資格外活動」、つまり留学生である可能性が高い。サービス業の一部もそうだろう。小売や飲食は、かつては日本人の学生アルバイトが働く場だったが、少子化で学生が減る中、「留学生」に依存するようになった。今や、都心の外食チェーンコンビニエンスストアなどは外国人労働者ばかりで、日本人スタッフの姿を見ないケースも少なくない。

 宿泊業などへの就労が可能になる新しい在留資格を盛り込んだ出入国管理法は、2018年12月まで開かれていた第197臨時国会で可決成立した。その法案審議の過程では、「技能実習」や「留学生」の問題について野党が取り上げ、政府を批判した。

 技能実習生が実習先の農家などから脱走する例が相次いでいることや、留学生を「労働者」として斡旋する仲介業者の存在などが問題視された。特にアジア人留学生に日本語学校の授業料などとして多額の借金を負わせ、日本の職場に送り込む例などがメディアでも紹介され、野党の追及材料になった。当『フォーサイト』でもジャーナリストの出井康博氏が珠玉の連載「『人手不足』と外国人」で様々な実例をルポしている。

 そんな「批判の的」である技能実習生や留学生が、まだまだ増え続けているのだ。新しい在留資格として「特定技能1号」「特定技能2号」という就労資格ができれば、「便法」として使われてきた「留学生」や「技能実習生」は減っていく、という見方もある。だが、実際には留学生資格でやってくる外国人は減らないのではないか。

 というのも、雇う側にとって「外国人留学生」は便利だからだ。日本人の学生アルバイト同様の低賃金で雇うことができる。社会保険などに加入させていないケースも少なくない。あくまでアルバイトだということで、労働基準監督局のチェックも甘くなる。そんな期待もあるに違いない。

本音と建て前のハザマ

 また、「特定技能1号」の資格ができても、「小売業」は対象にならない。まさしく「誰でもできる仕事」だという判断からだ。そこに外国人を入れれば、日本人の仕事が奪われる、というのが長年の理屈だった。

 現実にはコンビニで働く日本人自体が減っているので、外国人頼みはますます強まっていく。それでも外国人が働ける職種ではないので、「資格外活動」となる。

 業界からは技能実習の対象にコンビニを加えて欲しいという要望がかねてから出されているが、今のところ認められていない。つまり、留学生頼みであり、彼らを使い続けるほかないわけだ。

 特定技能1号の対象は14業種。建設、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業である。

 これまで外国人労働者の受け入れが認められていなかった「宿泊業」が対象に加わり、「外国人」が参入し始めることになりそうだ。また、「留学生」のアルバイトが中心だった外食業にも、本格的に「労働者」が入ってくることになる。

 また、これまでは「技能実習」として受け入れるしかなかった建設、造船、農業、漁業などでは、技能実習が減り、特定技能1号の資格で労働者として働く人が増えるとみられる。技能実習は、実態は労働力の受け皿だが、あくまで国際協力が建前だった。この本音と建前のハザマで外国人たちが苦悩し、脱走などの事態が起きてきた。

 政府が出入国管理法の改正を急いだ背景には、建設現場の人手不足問題がある。技能実習制度での滞在期限はもともと3年だったが、建設や造船については5年まで延長できるよう法律が改正され、2017年から施行された。2017年に3年の期限が来た人は、2019年で5年になる。要するに、何もしなければそれで任期満了になったはずだ。

 東京オリンピックパラリンピックを前に仕事に慣れた外国人労働者に帰られては現場が立ち行かなくなってしまう。だからこそ、長期に滞在させる方法として特定技能1号、2号の資格が作られたとみていい。

 建設や造船は今回、特定技能2号の対象にもなっている。家族を帯同することもでき、無制限に更新申請ができる。事実上、日本に住み続け、働き続けることが可能になるわけだ。

 もはや、外国人労働力なしに、工事現場は回らない。外国人が5年、10年と現場で働き、熟練度を上げていけばいくほど、彼ら外国人なしに日本の現場は、今以上に回らなくなるだろう。必要不可欠な人材として無期限の居住を認める。これを移民と言わず、何と言うのだろうか。

 

「インバウンド消費」頭打ちで考えるべき「日本産品」シフトの「工夫」

新潮社フォーサイトに1月30日にアップされた拙稿です。オリジナルぺージ→

https://www.fsight.jp/articles/-/44819

 日本にやってくる外国人による消費、いわゆる「インバウンド消費」が頭打ちになってきた。2018年の訪日外国人数は3119万人と初めて3000万人を突破し、彼らが日本国内で落としたお金も過去最多を更新したが、消費の増加率は前の年に比べて、わずか2%増に留まった。国内消費の低迷が続く中で、インバウンド消費による下支え効果が大きかっただけに、日本経済の先行きに暗雲が漂い始めたと見ることもできそうだ。

「モノ消費」から「コト消費」へ

 観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2018年1年間の訪日外国人による消費額は推計4兆5064億円だった。2017年は17.8%の伸びを示していたが、2018年は2.0%の増加だった。最大の消費者である中国からの旅行客による消費が、1兆5370億円と9.3%も落ち込んだことが響いた。中国人消費が減少したのは2012年以降初めてだ。中国大陸の景気の影響を大きく受ける香港からの旅行者の消費額も、3355億円と1.8%減少した。

 中国からは近年、クルーズ船でやってくる旅行者が激増している。観光庁のこの調査は空港での旅客への調査だったが、2018年分からクルーズ客も対象に加えた。クルーズ客は短期滞在の傾向が強いことから、消費額も少ないため、その影響が集計結果に表れた、という。従来通りの方法で推計した場合の伸び率は8.7%増だといい、2.0%増よりは大きくなるものの、前の年より大きく鈍化していることに変わりはない。

 訪日外国人の消費で最も多いのが「買物代」。全体の34.7%にあたる1兆5654億円に上った。前年の「買物代」は1兆6398億円だったので、4.5%減ったことになる。次に多い「宿泊費」が6.1%増加、「飲食費」や「娯楽等サービス費」も増えており、「買物代」の落ち込みが目立つ。

 その主因はやはり中国人消費の落ち込み。中国人観光客の「買物代」は、2018年は8033億円だったが、2017年は8777億円だったから8.5%も減ったことになる。

 旅行者1人あたりの消費額で見ると、「買物代」は全体平均では5万880円だが、中国人観光客はダントツに多い11万923円を使っている。が、2017年の11万9319円と比較すれば、いわゆる「爆買い」に象徴される中国人観光客の買い物は頭打ちになりつつある、というのが統計から読み取ることができる。

 ちなみに日本を訪れる旅行者の平均宿泊数は9.1泊で、前の年と変わらなかった。が、消費された「宿泊費」は1人4万5822円と、2017年の4万3397円に比べて増加した。日本の観光地ではホテルや旅館の宿泊代金が上昇しており、それが数字に表れていると見られる。また、「飲食費」も9.1%増えた。

 さらに、「娯楽等サービス費」が5952円と、前の年の5014円から18.7%も増えており、「モノ消費」から「コト消費」へという旅行者の嗜好の変化が表れている。

 京都や奈良などでは、若い外国人の男女が和服姿で街中を歩いているのを多く見かける。今、日本にやってくる旅行者の間では、体験型の観光が大人気になっており、「買い物ツアー」が花盛りだった頃と大きく様相が変わりつつあるのだ。

 日本の旅行業界や観光地は、そうした体験型のプログラムを多数用意し、滞在時間を延ばすことで、宿泊や飲食、買い物などにつなげていこうという取り組みが増えている。今後も旅行消費は「買い物」一辺倒から、より多様になっていくに違いない。

 もっとも、そうは言っても、日本国内在住者による消費が今ひとつパッとしない中で、買い物を中心とするインバウンド消費が頭打ちになるとすると、その影響は大きい。

「客層」の変化にも理由

 日本百貨店協会が公表している全国百貨店売上高概況によると、2018年の百貨店売上高は5兆8870億円と、2017年比で0.8%減少した。一方で、免税手続きによる売上高は3397億円と25.8%増えている。2017年は46.3%も増えたので、それに比べれば鈍化しているが、全体に占める割合は5.7%から5.8%へとジワリと増えている。つまり、外国人観光客への依存は年々高まっているわけだ。

 百貨店の売上高も月単位で見ると、2018年は後半の失速ぶりが鮮明だ。地域別に見ると、外国人向けの売り上げが大きい大阪の百貨店売り上げは、2017年5月から2018年6月まで14カ月連続で対前年同月比5%を上回る伸びを記録していたが、7月にマイナス1.7%、9月にはマイナス4.1%と大きく落ち込んだ。地震や台風による高潮被害などで関西国際空港を利用する外国人観光客が減ったことが主因と見られるが、明らかにムードが変わりつつある。11月0.0%増、12月2.2%増と回復ピッチも鈍い。

 もう1つ気になることがある。百貨店での免税手続きをした人の、1人あたりの購入金額、いわゆる単価である。2018年の平均(月額平均の年平均)は6万5000円と、2017年の6万7583円から低下した。月別に見ると、2017年10月に7万4000円だったものが、2018年7月には6万円にまで下がっている。高級ブランド品の「爆買い」が影をひそめ、化粧品や食料品といった単価の低いものへシフトしている影響と見られる。

 日本にやってくる外国人観光客はリピーターが増えている。回数を重ねればお土産品の目新しさも消える。また、LCC(格安航空)やクルーズ船を使った低価格での旅行者も増加している。こうした「客層」の変化も、インバウンド消費が頭打ちになってきた大きな理由だろう。

アジアのエンターテイメント拠点

 日本政府は2020年に訪日外国人旅行者数4000万人を目指している。2018年の3119万人をベースに、伸び率実績8.7%増が続くとしても、2020年には3685万人になる。2020年には東京オリンピックパラリンピックの開催という大きなイベントがあるので、目標の4000万人は何とか達成できる可能性もありそうだ。

 さらに、政府は外国人消費を2020年に8兆円とする目標も掲げている。「爆買い」で1人あたりの旅行消費が17万円を超えていた2015年をベースに立てた数字で、こちらの達成はほぼ絶望的と見られている。

 もっとも、「爆買い」のターゲットだった高級ブランド品はほとんどが輸入品。売り上げは大きいものの、日本の生産者に恩恵が及ぶことはなかった。円高で欧米から安く仕入れたものが、その後の円安で、外国人旅行者にとっては「格安」になり、バーゲンセール状態になったのが「爆買い」の大きな理由だった。つまり為替のマジックによる消費ブームだったと言える。

 最近、日本にやってくる外国人旅行者の買い物のターゲットは「メイド・イン・ジャパン」。日本でしか手に入らない良いものを求めようという傾向が強まっている。中国からの旅行者に人気の食べ歩きでも、日本産のいちごなど果物や、海産物などがひっぱりだこ。日本人から見ると驚くような高値で売れていく。

 こうした日本産品へのシフトは表面上は金額が小さくなるかもしれないが、日本経済の下支えになることは明らかだ。

 日本で開く美術展を目がけてアジア各国から観光客がやってくるのも当たり前になった。観劇やスポーツ観戦なども、旅行者に人気だ。必ずしも日本的なものだけでなく、アジアのエンターテイメント拠点として日本の可能性はまだまだある。

 どうやって外国人観光客を増やし、日本でより多くのおカネを落としてもらうか。そうした工夫をせず、旧来型の観光にあぐらをかいていると、為替が円高に振れたとたん、日本旅行ブームが去ってしまうことになりかねない。そうなれば、日本の消費経済への打撃は深刻なものになるだろう。

 

円安なのに「過去最高の海外旅行ブーム」の複雑な事情をご存じですか 原因は国内旅行にあるかもしれない

現代ビジネスに2月14日にアップされた拙稿です。是非お読みください。オリジナルページ→https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59853

 

過去最高の海外旅行ブーム

ここへきて海外旅行が人気だ。今年のゴールデンウィーク天皇陛下の譲位の式典などで10連休になることから、2月の時点で海外旅行が軒並み満席になっているというニュースが飛び交っている。

日本政府観光局(JINTO)が発表した2018年1年間の出国日本人は1895万4000人と、2012年に記録した1849万657人を上回って6年ぶりに過去最多を更新した。この勢いならば2019年も最多を更新することになるだろう。

確かに大型連休は海外旅行に行くチャンスだが、なぜ、海外旅行が増えているのだろうか。

過去最多の出国数だった2012年は猛烈な円高が追い風だった。2011年10月に1ドル=75円を付けた円相場は2012年も1ドル=76円から86円前後で推移した。海外での円の購買力が猛烈に強まったこともあり、海外旅行が大ブレイクしたわけだ。

その後は2012年12月に発足した第2次安倍晋三内閣が、アベノミクスを打ち出したことで、急速に円安が進んだ。このため、海外から日本にやってくる外国人にとっては「超割安」な旅行先となった。いわゆる「インバウンド・ブーム」の始まりである。

訪日外国人が大幅に増加した一方で、日本から海外に行く日本人は2013年から2015年まで3年連続でマイナスとなった。

それが再び増加に転じたのは2016年で、5.6%増、2017年は4.5%増えたのち、2018年は6.0%の伸びになった。月ごとの統計でみると、2018年10月には前年同月比12.8%増、11月は8.2%増、12月は10.9%増と大幅に出国者が増加した。

賃上げ効果ではない

ではいったいなぜ、海外旅行に行く日本人が増えているのだろうか。6年前のような急激な円高効果ではないのは明らかだ。

景気が良くなっているからだろうか。安倍晋三首相は2012年以降、繰り返し「経済好循環」を政策目標に掲げ、円安で好転した企業収益を「賃上げ」によって従業員に還元するよう求めてきた。2018年の春闘では「3%の賃上げ」を経済界に要望していた。

今年になって不正が発覚した「毎月勤労統計」では2018年6月は3.3%も給与が上昇したとされたが、修正値では2.8%に下方修正された。

国会審議の過程では、2018年は実質賃金が本当にプラスだったのかも怪しくなっている。ということは、ここへきての海外旅行ブームも、賃上げ効果が旅行消費に向いてきた、ということではなさそうだ。

ではなぜ、海外旅行なのか。観光庁が行っている「主要旅行業者の旅行取扱状況」という統計にヒントがありそうだ。

それによると2017年度(2017年4月から2018年3月)の海外旅行の総取扱額は2兆653億円と前年度比6.7%増えた。一方で、国内旅行の総取扱額は3兆4190億円と、3.0%の伸びにとどまっている。

「募集型企画旅行」の旅行商品で取り扱った人数を見ると、海外旅行は4.2%増なのに、国内旅行は2.8%減っている。

つまり、海外旅行が増えているのは、国内旅行からのシフトだと考えられるわけだ。しかも、国内旅行は取扱額よりも取扱人数の減少率が大きい。単価が上昇したことで割安感のある海外旅行に流れているとみられるのだ。

ということは、海外旅行ブームは景気が良くなったからではなく、むしろ日本人は価格にシビアになっている、と考えられるのだ。

円安を上回る国内価格の上昇

インバウンドで日本に押し寄せる外国人が増加したことで、これまで「価格破壊」状態だった国内のホテルや旅館の価格が上昇している。また、観光バスの代金などが高くなった結果、国内パック旅行も激安商品が姿を消している。どこへ行っても外国人観光客ばかりで、なかなか個人では予約が取れない、ということもある。

一方で、LCC(格安航空会社)の普及で、アジア諸国向けの航空運賃が割安になり、海外旅行の価格単価が安くなっている。インバウンドが増えたことでLCC便が増加し、日本人も海外に行きやすくなった、と言えるだろう。日本国内の航空運賃は高止まりしており、国内旅行敬遠に拍車をかけているのかもしれない。

「主要旅行業者の旅行取扱状況」の2018年4月以降の月次データを集計してみると、発表済みの1月までの累計で、海外旅行の取扱額は前年同期間比6.7%増え、前年度の傾向が続いていることがわかる。一方で、国内旅行はマイナス2.0%となっており、前年度よりも国内旅行の取扱が減っていることを示している。

ちなみに日本の旅行会社が扱うインバウンド旅行も増加している。2017年度は12.1%も増加した。2018年度も11月までの累計で16.2%増えている。日本人の国内旅行が減少する中で、外国人の国内旅行に営業をシフトしようとしている旅行会社の姿が浮かぶ。

訪日旅行者もリピーターが増え、高級旅館や体験型のリゾートなど高級化も進んでいる。「爆買い」の旅行版という指摘もある。そうした訪日客によって国内旅行代金が年々高くなりつつあるのも事実だ。

訪日外国人による日本旅行ブームを横目に、日本人の海外旅行ブームが起きていることが、日本人にとって国内旅行を「高嶺の花」になりつつあるのだとすると、何とも寂しいことだ。「失われた20年」の間に日本人の給与水準が大きく下がり、アジアの人たちに比べても「貧しくなった」とすれば、やりきれない。

働き方改革で変わる会社との関係 求められる「労働組合」の機能変化

ビジネス情報誌「月刊エルネオス」2月号(2月1日発売)に掲載された原稿です。

働き方改革」の影響で、会社と働き手の関係にも大きな変化が起きようとしている。
 終身雇用・年功序列を前提とした伝統的な日本企業では、会社と働き手はある意味「一心同体」。一生懸命に働いていれば、いずれ会社が報いてくれるという前提で、一種の信頼関係が成り立っていた。同期入社ならばある一定レベルまでは格差をつけず、昇格昇進させ、給与もほぼ同じ、というのが日本の会社の良さでもあった。会社と働き手の関係は「画一的」だったともいえる。
 ところが「働き方改革」によって、その前提が大きく変わり始めている。多様な働き方を求める人が増え、同じ社員でも労働時間や待遇が大きく違う例が増えつつあるのだ。これまでは考えられなかった「副業」の拡大などに政府も旗を振る時代だ。
 働く時間などをフレキシブルにした裁量労働制も広がっている。さらには、時間によらない働き方を認める「高度プロフェッショナル(高プロ)制」も導入された。会社と働き手の関係は、人それぞれ、多様になってくるのは明らかだろう。
 そんな中で問題なのは、どうやって働き手の権利を守るか、である。これまでは、働き方が画一的だったことから、勤務時間の短縮やベースアップなど賃金の引き上げを働き手全体として経営陣に要求する手法が取られてきた。従業員が所属する労働組合と経営陣が交渉して待遇を決める「労使交渉」がそれを担ってきた。
 労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律だが、そこにもしばしば、労働者の過半数で組織する労働組合との協定を結ぶことを求めている。働き手の条件を改善していくためには使用者、つまり、経営陣に要求を認めさせるよう、「労働者が団結」することが重要だ、というのがこれまでの「労働運動」の基本であった。

非正規社員と正規社員の格差

 ところが、働き方が多様になると、なかなか労働者は団結することが難しくなる。会社に求めるものも多様になってくるからだ。伝統的な製造業では今も労働組合が存在するが、新しいIT(情報技術)企業などでは、労働組合がない場合が少なくない。
 厚生労働省が毎年十二月に発表している「労働組合基礎調査」によると、二〇一八年六月三十日現在で全国にある労働組合は二万四千三百二十八組合。前の年に比べて百三十七組合減った。減少は過去二十年以上にわたって続いている。組合員の数自体はここ四年間、微増が続いているものの、全体の雇用者数が増えているため、推定組織率は一七・〇%と八年連続で前年を下回り、過去最低となっている。
 つまり、労働者の権利を主張し、権利を守る母体だった労働組合の組織率は年々低下しているのだ。
 特定の労組に入っていることを雇用条件にする「クローズド・ショップ」と呼ばれる仕組みをとっている場合、社員になった段階で、労働組合への加入が義務付けられる。一方で、加入が社員の自由である組合も多い。そうした場合、会社に入っても労働組合には加入しない、というケースが出てくる。会社にもともと労働組合がないのではなく、あっても入らない人がいることが、組織率の低下に結びついている。
 ではなぜ、労働組合に入らないのか。
「組合が働き手の味方になってくれるとは思えない」という声もある。本当の意味で、働き手の利益を代表していない、というのだ。大会社でさまざまな職種がある場合など、そうした不満の声をよく聞く。また、前述の通り、働き方が多様化して、労働組合が働き手それぞれの要望を捉えきれていない、という例も少なくない。
 その典型がパートタイムなど非正規労働者と、正社員の格差だ。大企業などの労働組合では、正社員は組合員になれても、非正規社員は組合員になれないケースが多い。厚労省の調査によると、パート労働者で労働組合に加入している人は百二十九万六千人。この四年で三十三万人も増加した。パート労働者の組織率は年々上昇しているとはいえ、二〇一八年で八・一%にすぎない。
 連合など労働組合団体にとっては、組織率の低下は重大問題だ。労働者の代表という立場に疑問を呈する向きも出てくるからだ。実際、政府は「働き方改革」の原案を作る段階で、労働組合代表の数を減らした。それまで、労働政策については、公労使(公益・労働・使用者)の代表による「三者合意」がなければ改革できないという不文律があった。それを「無視」する理屈にも、労働組合が労働者を代表しているとはいえない、という論理があった。

企業別組合から職能別組合

 連合などは、傘下の組合に対して、非正規雇用の人たちを労働組合に受け入れるよう呼び掛けている。非正規雇用の割合が高くなる中で、非正規の人たちの声も吸い上げなければ労働組合運動とはいえない、という切実な思いがある。しかし、正社員と非正規社員では利害が相反する場合もあり、共に闘うという形にはなりにくいのが実情だ。
 もう一つ、日本の労働組合企業別組合が基本で成り立っているという特殊性にも問題がある。欧米では職能別の労働組合が多く、企業の枠を超えて、同じ職種の人たちが組合をつくっているため、企業を超えて、職種や働き方が似た人たちが「団結」することを可能にしている。
 では、働き方が一段と多様化する中で、今後、労働者の権利はどうやって守られていくべきなのだろうか。旧来型の労働組合のあり方とはまったく違った発想で、新しい組合をつくっていく必要があるのかもしれない。企業単位ではなく、欧米のように、同じ職種の人たちが、働き方や待遇の改善を求めることがより重要になるかもしれない。また、個々の働き手が企業と労働契約を結ぶ形になっていく中で、そうした契約内容の是非などをアドバイスする役割も労働組合が担うべきではないか。
 高プロ裁量労働など、ともすると仕事を与える会社側の立場が有利になり、ブラック企業が大手を振ってまかり通ることになりかねない。多様な働き手を守る仕組みを作るためにも、労働組合が変化する時に来ているのではないか。

 

 

エルネオス (ELNEOS) 2019年2月号 (2019-02-01) [雑誌]

エルネオス (ELNEOS) 2019年2月号 (2019-02-01) [雑誌]

 

 

日本の国内消費が一気に腰折れ。天災による一時的なものか見極め必要

隔月刊の時計専門雑誌「クロノス日本版」に連載しているコラムです。時計の動向などから景気を読むユニークな記事です。1月号(12月上旬発売)に書いた原稿です。→

https://www.webchronos.net/features/26934/

 

日本の消費に急速に暗雲が広がり、時計販売にも影響が出始めた。スイス時計の日本向け輸出額を月別に見ると、日本の消費の失速ぶりが鮮明になる。

 6月の対日輸出額は1億3100万スイスフラン(約149億円)と、前年同月比で31.8%も増加。スイス時計の輸出先として香港(2億7030万スイスフラン)、米国(1億8940万スイスフラン)に次ぐ3位に躍り出た。あの中国大陸向け(1億2390万スイスフラン)を抜き去ったのである。

 6月の日本国内の百貨店売上高も絶好調で、一気に景気が好転するかに思われた。安倍晋三首相が経済界に訴えてきた「賃上げ」の効果もあり、給料やボーナスが増えたことが、ようやく消費に向かってきたのではないか、そう見られていた。6月の販売好調を受けて7月のスイス時計の対日輸出も前年同月比16.6%増と高い伸びを続けていた。

 ところが、である。夏場以降、日本国内の消費が一気に腰折れしたのである。最大の要因は天候不順。西日本豪雨災害や連日の記録的な猛暑、そして相次いだ台風直撃と、自然災害に襲われた。とても買い物をしていられる場合ではなくなったのだ。

 さらに追い討ちをかけたのが、8月に関西を直撃した台風による高潮被害で関西国際空港が一時閉鎖に追い込まれたこと。さらに9月には北海道胆振東部地震が起き、北海道への旅行客が激減した。JNTO(日本政府観光局)の推計によると、9月の訪日外客数は216万人と前年同月比5.3%減少、何と5年8カ月ぶりの減少となった。当然のことながら、訪日外国人によるいわゆるインバウンド消費も一気に萎む結果になった。

 前回(2018年11月号)の本欄で、インバウンド消費が落ち込むようなことになれば、「日本の消費が失速する可能性がある」と書いたが、まさにそうした状況に追い込まれたのだ。スイス時計の日本向け輸出は、8月は9.9%増だったが、9月には2.4%増になり、10月はついに1.0%のマイナスとなった。これまで好調だったものが一気に失速したのである。

 問題は10月のマイナスが一時的なものなのか、トレンドが変わったと見るべきなのか。日本向けスイス時計輸出を、1月から10月までの累計で見ると、まだ前年同期間を10.8%上回っている。11月から再びプラスに戻れば、年間でも2ケタのプラスを確保できるだろう。

 だが、11月以降もさらにマイナス幅が大きくなるなど、失速が鮮明になってくるとムードは完全に変わる。万が一にも年間でマイナスになるようなことになれば、来年の日本の消費が相当弱くなることを覚悟しなければならないだろう。日本経済の先行きを占う重要なタイミングに差し掛かっているように見える。

 JNTOの推計による10月の訪日外客数は264万人と10月としては過去最多を更新した。しかし伸び率は1.8%増にとどまっており、ひところの力強さはない。インバウンド消費が再び日本の消費を牽引するようになるのかどうか。

 さらに、日韓関係が再び冷却化しそうなことも、訪日外客数に影を落とす。韓国からの訪日客は10月に8.0%も減少した。元徴用工に関する韓国最高裁の判決をきっかけに両国関係が冷えこめば、両国の人の移動も減り、消費の足を引っ張ることになる。

 一方で、米中貿易戦争の余波で、中国経済が失速するのではないか、という懸念については、まだ深刻な影響は消費には表れていない。日本を訪れる中国人観光客も1-10月の累計で前年同期比15%の伸びを維持している。スイス時計の中国大陸向けも1-10月累計は14.0%増だ。米中関係の悪化が日本の消費に大打撃を及ぼす事態にはまだ発展していないと見ていいだろう。

 2019年10月に予定される消費税率の8%から10%への引き上げも、消費に大きな影響を与えそうだ。足元の消費が弱い中で、消費増税の準備の話題が広がるだけでも、消費マインドに水を差すことになる。政府では増税後の消費の減少対策を行うことで議論されているが、それ以上に、今冷え込んでいる足元の消費対策を行う必要がありそうだ。

 

 

クロノス日本版 2019年1月号

クロノス日本版 2019年1月号