2012-01-01から1年間の記事一覧

日系子会社で不正経理が横行!? アジア拠点の拡充には経理や財務・税務といった専門職人材の確保が急務

「アジアの子会社を舞台にした不正がもの凄いそうです。それも日本企業の子会社だけがカモだというから驚きます」 日本CFO協会の谷口宏専務理事は舌を巻く。大手会計事務所のアジアの責任者に会った際、そんな話を聞かされたのだという。 経済がグローバル化…

「陰謀史観」秦郁彦著(新潮新書) 

最近とみに「陰謀論」ばやりだ。経済書ビジネス書のコーナーではそうした陰謀論がベストセラーとして並んでいる。読めば面白いことこの上ない。そんな「陰謀史観」の変遷をたどったのが、この本だ。幕末から「欧米の陰謀」をベースにした著作が流行し、それ…

社外取締役不要の「言い訳」を笑え

FACTA9月号に掲載した連載記事を編集部のご厚意で再掲します。 オリジナルページ→ http://facta.co.jp/法務省の法制審議会会社法制部会は8月1日、「会社法制の見直しに関する要綱案」をまとめた。昨年末に同部会で選択肢として示されていた「社外取締役1人…

消費税が定着した今、酒税を別途課税する必然性はあるか!? 消費税率引き上げを機に考えたい税制のあるべき姿

消費税率が現行の5%から段階的に10%に引き上げられることが決まり、酒やたばこに課されている物品税との「二重課税問題」が再燃しそうだ。酒やたばこには、高い酒税やたばこ税がかけられているが、その税額を含んだ小売価格に消費税が課されている。 消費者…

IFRS導入で高まる 日本企業の国際競争力

WEDGE9月号に掲載した連載「復活のキーワード」の記事を編集部のご厚意で転載させていただきます。東海道新幹線のグリーン車に置かれていますが、WEB版も好評です。一度覗いて見てください。 →http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2180 円高を生か…

橋本正博・前特許庁審査業務部長 「スイス滞在を経て」第4回

「スイスビジネスハブ(スイス企業誘致局)」 ニュースレター連続インタビュー スイス企業誘致局→http://www.invest-in-switzerland.jp/internet/osec/ja/home/invest/jp.html 2012年9月号 聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長磯山友幸 スイスと日本…

改正金融商品取引法の成立で「総合取引所」がついに実現!! 役所の縛りをこえて東証・大証の統合で「強い取引所」はできるか

「総合取引所」を実現させるための制度整備を盛り込んだ改正金融商品取引法が9月6日、衆議院本会議で可決された。すでに参議院は通過しており、会期末ギリギリでの法案成立となった。これまで、金融庁と経済産業省、農林水産省に分かれていた取引所に対する…

消費増税は“同床異夢”状態 官僚の本音は「ともかく増税」

谷垣禎一氏が自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。野田佳彦首相との会談で合意した「近いうちに」は、国会会期末ということで密約ができていたのではないかと見ていましたが、完全にハズレでした。解散せずに総裁選になれば、谷垣おろしになるのは…

河合江理子・京都大学教授 「スイス在住を経て」 第3回

「スイス・ビジネス・ハブ(スイス企業誘致局)ニューズレター 連続インタビュー 2012年6月号 聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長磯山友幸 スイス企業誘致局→http://www.invest-in-switzerland.jp/internet/osec/ja/home/invest/jp.htmlスイスと言え…

軽部謙介「沖縄経済処分」(岩波書店)

先日、私の主宰する勉強会で、旧知の軽部謙介さんに「沖縄」についてご講演いただいた。軽部さんは時事通信社の記者で、経済部畑を歩き、日銀や大蔵省(財務省)詰め、ワシントン支局、ニューヨーク総局長などを歴任。現在は編集局次長を務めている。これま…

東北発の景気回復が始まっている── 住宅建設が全国に波及すれば「デフレ脱却」へ

今月のエルネオスに掲載した記事を編集部のご厚意で再掲させていただきます。 エルネオス→http://www.elneos.co.jp/ 月刊エルネオス 連載 硬派経済ジャーナリスト磯山友幸の≪生きてる経済解読≫──(17) 建設系職人の日当はうなぎ上り 「景気が良くなる」と言っ…

前刀禎明アップル日本法人前代表に聞いた「アップルが復活し、シャープ、ソニーの凋落が止まらないのはなぜか」

ほんの数年前まで「世界の亀山モデル」の液晶テレビは他の追随を許さないと言っていたシャープが大幅な赤字に苦しんでいます。多くの人が日本のモノ作りが本当にヤバイのではないか、と感じているのではないでしょうか。なぜ、日本のモノづくりがここまで危…

高齢化で増え続ける医療費がついに37兆円を突破! 消費増税でも補えないのなら、党利党略を越えた国民目線の議論を!

医療費の増加が止まらない。厚生労働省がこのほど発表した2011年度の医療費総額は、約37兆8,000億円と、前年度に比べて3.1%、約1兆1,500億円も増えて、9年連続で過去最高となった。高齢者が増加しているうえ、医療技術や医療機器の高度化で1人当たり医療費が…

金融庁が「詐称」を容認した学者

民主党政権とは何だったのか、次の総選挙の後には様々な本が出版されるに違いありません。そんな中で、私が疑問に思い続けているのは、なぜ、民主党が政権交代以来、「金融担当大臣」を国民新党に委ね続けているのか、です。得票率数%の国民の支持を得たわ…

検察 破綻した捜査モデル 村山治著(新潮新書)

村山さんは検察取材の第一人者です。半ばインサイダーと言ってもよいかもしれません。検察の内部を知り尽くした記者なのです。本書の中で「(検事が)〜と知人に語った」という下りが何カ所か出てきますが、これは恐らく、検事が村山記者に直接語ったことな…

仲田正史・野村信託銀行社長 「スイスに在住を経て」第2回

「スイスビジネスハブ(スイス企業誘致局)」 ニュースレター連続インタビュー スイス企業誘致局→http://www.invest-in-switzerland.jp/internet/osec/ja/home/invest/jp.html 2012年4月号 聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長磯山友幸 スイスと言えば…

独エネルギー大手のしたたかな原価引き下げ交渉に学べ! 〜電気料金引き上げの前にやるべき事

欧州で発電・ガス供給などを行うエネルギー大手の独エーオン社が8月13日に発表した2012年1-6月期決算は、純利益が前年同期の3倍以上に相当する31億3,300万ユーロ(約3,000億円)と急増した。天然ガスの供給元であるロシアの政府系企業ガスプロムとの交渉の末、…

総合取引所の創設で価格決定権を握れ 日本に商品市場の復活を

日本の電力会社が割高な燃料ガス(LNG)を購入していることが問題になっています。一方で、つい先日、国会で可決成立した日本の金融市場の活性化策に「総合取引所」があります。両者にはまったく関係がないように思われるでしょう。しかし、売買が活発に行わ…

会計基準でも懸念されるガラパゴス化  「IFRS反対」で失われる日本の国益

国際会計基準IFRSは、私が経済ジャーナリストとして20年近くにわたってフォローし続けているテーマです。日本は国際基準のヘゲモニーを握るのは、外交力の弱さなどと相まって苦手なのですが、この会計基準分野では国際的な発言力をかろうじて保っていま…

なぜ会計監査は経営者の不正を防げないのか---吉見宏・北海道大学教授に聞く。 「過去の不正を徹底検証しケーススタディを蓄積すべき」

企業経営者の不正を会計士は発見できるのか、というのは長年の議論です。会計監査というのは不正がないことを前提に行うので、経営者が会計士を騙そうと思ったら、会計士は不正を見逃せない、というのが会計士の長年の主張です。しかし、世の中は株主の利益…

東電決算書に描かれた「だまし絵」

少し古くなりましたが、FACTA7月号の記事を編集部のご厚意で再掲します。最近最も過激なメディアといえるFACTAに連載をいただいて1年余がたちました。よく「なぜ、監査役 最後の一線というタイトルなのですか」と聞かれます。監査役についての話題を書くと…

「大山鳴動鼠ゼロ匹」で終わる企業統治改革

コーポレート・ガバナンスというと、企業経営者の暴走を防ぐ「ブレーキ」機能を強化せよ、という議論に聞こえるが、本来は、利益追求をする企業経営者の背中を押す「アクセル」機能もあります。企業が剰余金を抱え込んで新規投資をしない、と批判されますが…

元駐スイス日本国特命全権大使 國松孝次氏  「スイス滞在を経て」 第1回

スイスへの日本企業の誘致などを行う「スイス・ビジネス・ハブ(スイス外国企業誘致局)」という組織があります。スイス大使館の中に事務局を置き、投資促進セミナーなど数々のイベントを実施しています。その誘致局が発行する日本語版ニューズレターで2011…

どこからも「異質な声」が出ない社会

フジサンケイビジネスアイの1面コラムは、書き始める前に想像した以上に反響があります。知り合いの大企業経営者や大物官僚OBなどから、「読んだぞ」と言われることがしばしば。1面であることや、写真が入っていることから、目に付きやすいのかもしれませ…

東北発景気回復で日本はデフレを脱却できるか!? 復興予算18兆円の浸透と銀行預金の減少がもたらす経済波及効果

しばらくブログの更新を怠っていたら、「バカンスですか、ご病気ですか」というメールまでいただいた。ご心配ありがとうございます。あまりの暑さに怠けておりましたが、再び、従来のペースに戻りたいと思います。今年3月頃から、東北発の景気回復が始まる…

国会は本当に国民の声を代表しているか!? 民主・自民ともにお蔵入りを望む国会事故調「7つの提言」

7月24日、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する政府の事故調査・検証委員会(政府事故調)が最終報告をまとめました。7月5日には国会に設置された事故調査委員会(国会事故調)も報告書を出したほか、東京電力や民間組織も調査報告をまとめており、そ…

「高齢者を若返らせる」 年齢で分類しないスイスの発想

日本で進む少子高齢化は、世界の関心の的のようです。果たしてどうやって乗り切るのか。スイスで開かれた国際会議を取材した原稿をウェッジの連載で書きましたが、編集部のご厚意で転載させていただきます。 オリジナルページ→ http://wedge.ismedia.jp/arti…

オリンパス事件の反省はどこへ? 法務省の及び腰で「社外取締役義務付け」が腰砕け寸前

7月18日の法制審議会・会社法部会で、会社法改正の要項原案が示されたそうです。「社外取締役義務付け見送り」と大手メディアも報じていました。8月上旬の部会で正式に決定される段取りだそうです。オリンパス、大王製紙と大問題を経て、「社外取締役1人…

日本はIFRSでアジアの主導権を握れるか!? 戦略なき対米追随姿勢では、したたかな中国に出し抜かれるのがオチ

「今こそ日本が国際会計基準IFRSを受け入れ、世界が注目するアジアでの主導権を握る事が大事だ。日本が受け入れ姿勢を表明すれば、孤立する米国も受け入れに動き、中国もついてくる。まず日本が受け入れることだ」 7月4日、日本公認会計士協会総会の懇親会で…

デフレ脱却の切り札? 次期総裁人事は? 国会で盛り上がる「日銀法改正」の意味

デフレから脱却できないのは日本銀行の政策のせいだ、という声が国会を中心に強まっています。そこで言うことをきかない日銀総裁を国会がクビにできるようにしてしまおう、という動きになっています。来年春には白川方明総裁が任期を迎えるため、またしても…